松森モヘー(中野坂上デーモンズの憂鬱)

松森 モヘークラス

 

WSテーマ

『 演劇に〝迷う” 』

 

 興奮するのはどっちかというと昨今の「鬼束ちひろ」です。

 「演劇」の持つ目立つ側面とは「観る人を楽しませる・感動させる」という部分ですが、今回はそれと違った、「演劇」の持つ底知れぬ「不気味さ・奇妙さ」に身を置く時間を皆さんと過ごしたいと思っています。

 それは迷路の入り口であり、おそらく答えのない、ヤリっぱなしのWSになるやもしれません。即戦力としては役に立たないかもかも。

 でもでも「演劇」とはそれほど深く底のないモノだと、「演劇」とは形のない無限の可能性を持つモノだと、貴方のいるその稽古場で一体何人の役者さんがソレを感じているでしょうか。

 せっかく「演劇」に触れているのに、繰り返されてきたメソッドに身を浸すだけではあまりにもったいなさが過ぎると思う昨今です。

 だから考えたいわけです。

 演劇人として自分達の身体から、まだこの世に出ていない「新しい演技」が生まれるのかどうかその可能性を。「誰も観た事のない芝居」を生み出す自分は存在するのかどうかその可能性をです。諦めてはいけないと思うのです。

 上手い下手とは違う側面から、この愉しい愉しい演劇の可能性に気付き、溺れることができるかどうか。それを知っている役者さんにこそグッとくる私です。

 そしてそんな役者さんの芝居に「感動」できる「演劇」。それこそが間違いなく「おもしろい芝居」なんです。

 でもこれはイバラの道です。「迷う」という行為は貴方の芝居を駄目にするかもしれませんが。でもどうですか。失うものなんてないわけですし。ましてや違法じゃないわけですし。

 ちょっとぐらいの「毒」が身体にいいんです。軽い気持ちでトリップしましょうっ。

 バキバキでお待ちしてます。

ーprofileー

松森モヘー(まつもりもへー)中野坂上デーモンズの憂鬱

 

1988年大阪生まれ。

 

高校の文化祭で『ド○えもん』を上演し初めて演劇に触れる。

大学進学と共に沖縄に渡りレゲエに染まって童貞を卒業。

2011年上京、ENBUゼミナールノゾエ征爾クラスに入学し、翌2012年から3年間『劇団はえぎわ』に演出助手として参加。

同時に自身のユニット『中野坂上デーモンズの憂鬱』を旗揚げする。以降、作・演出・役者として多くの作品をハイペースで手掛けながら、その他、地味に音楽活動やイベント主催と活動は多岐にわたる。近年では役者として映像作品へも積極的に参加。2017年度『佐藤佐吉演劇賞』最優秀作品賞・最優秀演出賞・その他3部門受賞。日本演出者協会主催『若手演出家コンクール2017』優秀作品賞受賞。